Saturday, November 28, 2015

映画監督インタビューの最高峰:「ディレクターズ・チェア」

映画監督の本音、葛藤、裏話、秘けつが聞けるインタビューテレビ番組、それが、アメリカのケーブルチャンネル エル・レイ・ネットワーク(El Rey Network)「ディレクターズ・チェア(The Director's Chair」

このケーブルチャンネルは映画監督のロバート・ロドリゲスが創設したもので、「ディレクターズ・チェア」はロバート・ロドリゲスが著名な映画監督に、映画監督としての知識と経験があるからこそ尋ねることができる質問をぶつけ、通常のインタビューでは聞けない監督としての深い葛藤や本音を引き出すインタビュー番組。

シーズン1でインタビューされた映画監督は、
・ジョン・カーペンター
・クエンティン・タランティーノ
・ギレルモ・デル・トロ
・フランシス・フォード・コッポラ
・マイケル・マン
・シルベスター・スタローン
・ルイス・バルデス
・ロバート・ゼメキス
・ジョージ・ミラー

 私がこの番組を観ずにはいられない理由は以下の4つ。
・難しいショットの撮り方が分かる
・ビジネス面の難しさの詳細が聞ける
・著名な監督が新人時代をどう乗りこえたか聞ける
・情熱が映画を完成させることを再確認できる

要するに、知識と元気の両方をくれる番組です!
  
日本ではまだテレビでの放送はされてないようなのですが、すべてのエピソードをiTunesのアメリカサイトで観れます。

ロバート・ロドリゲスは、このケーブルチャンネルを基本的にはラテン系アメリカ人向けにの局としてスタートさせた。ラテン系と言っても英語を話すラテン系で、ラテン系である自身のような映画好きやフィルムメーカーを応援したい様子。

この番組の他にはシリーズもののアクションドラマやラテン系アメリカ人が制作または出演している映画などを放送している。また、人種に関わらずアマチュアフィルムメーカーの映像作品もオンエアできるよう門戸を開いていて、インディペンデントフィルムメーカーであり続けた彼の思いが存分に詰まった番組構成だ。

アジア人の私も存分に楽しんでおります、と彼に伝えたい、笑。




Sunday, November 22, 2015

一番印象に残っているアメリカ体験は?ー銃ー

一番印象に残っているアメリカ経験と言えばなんですか?
というような質問をときどきされるが、正直に答えたことはない。

いつも楽しい答えを言ってしまう。
例えば、テキサスバーベキューのブリスケットは死んでもいいと思うくらいおいしいとか、サラ・ジェシカ・パーカーをハンバーガー屋の前で見たとか、セントラル・パークであった友人の結婚式に出席して酔っぱらったとか、ニューヨーク・コレクションのバックステージ撮影に参加したとか、ソフィア・コッポラと同じ時間に同じ店で食事したとか。

でも、この質問をされて一番最初に頭をよぎることはそんなことじゃない。一番最初に頭をよぎるのは「銃」だ。


1 銃が目の前にある

ニューヨークは米国内で最も銃規制が厳しい州なので、銃を持っている友人は私の活動範囲にはいない。でも、銃は毎日にように目にする。なぜかというとほとんどの警官が腰に携帯しているからだ。警官は町中のあちこちにいるし地下鉄にも乗っている。こちらへ来て日が浅い頃は、警官の腰にぶらさがっている銃をよく知らない間に凝視していた。これは人を殺せるものだ、誤発射しないだろうか、どう見ても警官になって日が浅そうなこの若い警官にうまく扱えるのだろうか、流れ弾を避けるにはどこに隠れたらいいんだろうか、などとドラマの見過ぎか想像力が先走りする。


2 生の銃声を聞いた

確実に銃声と言えるものを初めて聞いたのは約2年前。ブルックリンの自宅で寝ていたら銃声が2発聞こえた。当時のルームメイトはフロリダ州出身のアメリカ人で銃に詳しく「2発目は人間の体にのめり込んだ音だった。今ここで確実に人が1人死んだ」なんて言うから、すっかりビビって、今できることは流れ弾に当たらないようにすることだ、と思いベッドの下に隠れて寝た。結局その後は何も起こらず翌日以降もギャング抗争などはなかった。

2回目は最近だ。友人宅でパーティをした後そのまま寝ていたら、パン、パン、パン、パン、パン、とものすごい大きな連続銃声。飛び起きて窓へダッシュすると、なんと、、、


3 銃で撃たれた人が倒れるところを見た

泊まっていたのはクイーズの住宅地のいたって穏やかな地区。窓から外を覗くと、歩道にいた唯一の人間がパタンと倒れるところだった。一緒にいた友人の一人がすぐに警察に電話を掛けたが、オペレーターに説明し始めるとすぐパトカーのサイレン音がいくつも近づいてきた。後で聞いたところによると、撃たれた人はこの地区に住む人ではない上、完全のこの人だけを狙った犯行だったそうで、一般住民としては少し安心。この人の命が助かったという情報もほっとできた理由だ。でも、犯人は捕まらず仕舞い。


銃はテレビや映画でおなじみでもう飽き飽きしている程。でも、実際には音を聞くだけで日本から来た私などは縮み上がる。

ナイジェリア出身の友人とそんな話をしたことがあるが、彼らは銃の危険には慣れているという。慣れているといってももちろん必ず助かる術を身につけているわけではなく、銃を目にしたり銃声を聞いたりそれから逃げようとすることに慣れているということ。また、ニューヨーク大学の社会学の授業に参加させてもらったことがあるが、全米各地から集まったクラスメートの中にはテキサスやバーモンドなど銃規制の緩い州出身の学生がいて、実家には護身用銃があると言っていた。

アメリカにいたら銃撃戦に巻き込まれる可能性が高い、というわけではもちろんないが、銃にお目にかかる機会が多いというのは、日本にいたらあまり経験しないことだ。そして、それによって世界の警察とも言われるアメリカに住むということはどういうことかを考えさせられる、特に今日この頃。

Saturday, November 21, 2015

ドローンの使用 アメリカの場合

小型無人機ドローンの使用については、日本では、「ドローン規制法」が12月10日から施行され、ある一定重量以上のドローンの飛行禁止空域で飛行を希望する場合は、申請をして審査を受けなければならないようですが、アメリカでは、規制内容の発表はまだですが、まず所有者の登録が義務づけられることになりそうです。

まず最初に登録を義務づける理由は、それによって所有者が連邦航空局に監視されているという意識を高め、規制に沿った利用をすることを期待しているからとのことです。

こちらに住んでいると日々感じることですが、アメリカという国は世界最大の国でありその立場上リスクを取った政治や世界的活動を行っているので、安全対策は半端ではありません。現在のアメリカらしい進め方だなと思いました。

登録の詳細は11月20日までに発表されることになっていましたが発表されず、代わりに以下のような主旨のお知らせメッセージが連邦航空局のホームページに掲載されました。

  小型無人機ドローンの登録は、オンラインショッピングに似た極めて簡単な
  システムになる予定です。従って、登録作業に登録代行会社の援助が必要に
  なるようなことはないと予想します。

なんと、まだ登録手順の発表も行われていないのに、登録代行を行うとうたう企業があったようです。さすがアメリカと言わざる得ない。日本に比べてパイが大きく競争は激しいのでビジネスパーソンとして先手を撃つのは重要ですね。

ところで、ドローン熱を見事にいじるストーリーが秀逸だったサウスパーク第18シーズン第5話「マジックブッシュ」、現在は日本で視聴できる手段がないのみたいなのですが、オススメです。


Thursday, November 19, 2015

インディーズ映画界が元気な国ーフィンランド

世界中のインディーズ映画界が沈んでいる中、フィンランドのインディー界が健闘しているという記事があったので紹介します。

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国からの援助に頼らないフィンランドのインディ映画界は、独自のストーリーテリング、ジャンル映画(アクション、サスペンス、ホラーなど)の面白さ、ニッチなフィクションやドキュメンタリーの増加に特徴があり、具体的には、フィルムノアール、詩的な小説のようなもの、SFものなどさまざまなタイプの海外映画から影響が見られる。

先日ヘルシンキで開催されたLove and Anarchy映画祭のフィンランドインディー映画プログラムに登場した映画のラインナップから以下のことが読み取れる。

1 作品が多様
ドキュメンタリー、アニメーション、短編などジャンルが多様であるだけでなく、内容も登山、スケート、フィリピンのトランスジェンダー支援運動の他、スウェーデンの映画監督とのコラボレーション作品など幅広い。中でも、恋愛関係の終焉について独特な雰囲気を持つ実験的な撮影方法を取ったコメディ「About Happiness」、ダイナミックなカメラワークで従来にドラマの撮り方に挑戦した「On Happiness」、48時間以内に作品を完成させる映画コンテスト「Uneton48」で制作されたアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの「星の王子様」を元にした神秘的現実主義ラブストーリー「Night Goes Long」などが秀逸だった。他にも、ジャンル映画の作り方にこだわった「Guilt」があり、これは先日Raindance Film Festival(ロンドン)で最優秀初長編監督賞を受賞した監督の作品である。

2 興行成績への挑戦
大多数のフィンランド映画は国の支援により製作されており、インディー製作はそうスムーズにいくものではない。フィンランドでは国内製作作品が人気で、2014年の興行収入額トップ5のうち4作品がフィンランド国内製作の作品であるが、上位20作品の中でインディー製作されたものは1作品のみ。しかもこの作品は、ネパールの教育への投資資金を調達するために3人の男が小型トラックでヘルシンキからネパールまで旅するドキュメンタリーで、フィンランド初のクラウドファンディングで資金調達をした作品であるばかりでなく、興行収入はすべてネパールの教育資金として寄付されるというもの。

また、フィンランドではフィンランドらしくない作品は信用が薄く、従来の資金調達方法である国からの援助で製作された作品が好まれることが多い。フィンランドらしい作品とは、風変わりで一般社会から疎遠な登場人物がありとあらゆる手段を使って自己表現するものや、都市生活でからの逃避に関するものである。

3 アキ・カウリスマキの時代からの移行へ
国際的に最も名が通ったフィンランドの映画監督はアキ・カウリスマキであろうが、実験的で 無表情な登場人物が登場する彼の映画は、現代のフィンランド社会に向けて妥協のない批判を唱え続けるためフィンランドらしくないと相手にされず、商業的にもアート系映画界以外で成功することはめったいにない。

前日の「Guilt」を製作したMárton Jelinkó監督も同じ状況に直面しているようで、彼が作りたい大衆向けではない映画は、国内の既存の製作支援制度の中での資金調達は難しいと発言している。「Guilt」の製作資金10,000〜12,000ユーロはすべて監督の制作会社が調達したという。

だが、この作品は資金調達方法だけではなく他の面でも現在のフィンランドのインディーズ映画の典型である。それは、従来とは違うストーリーテリング手法を用いたジャンル映画で、その制作クオリティが高い点にある。

配給については、フィンランドのインディーズ映画は海外市場に岐路を見出しつつあると、フィンランドで唯一のインディーズ系映画配給をするMikka J. Norvantoは言う。彼が昨年製作したホラーコメディ「Bunny the Killer Thing」は、ヨーロッパ、北米およびオーストラリアの映画祭で上映された後、Raven Banner Entertainmentによる世界中での公開が決定し、その影響でその後も良い話が舞い込んできている。重要なことはその作品に合った観客を見つけることで、ネットフリックスやそれに似た国内プラットフォームの増加で状況ははるかに良くなっており、海外公開や海外にファンを持つこは夢ではなくなってきているとNorvantoは言う。

(元記事はこちら。長いので要約しています。敬称略で失礼しています)

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以前は、ジャンルに沿ったものを書かないとマーケットがないから売れない、と言われたものでしたが、最近は何でもありですね。上に出てくる「ホラーコメ ディ」などもすぐイメージできるようになりました。でももう既にジャンル名2つの単語の合成は使い尽くされてしまったように思います。次は3つかな。「ホラーラブコメドキュメンタリー」などがいかがでしょう、笑?

他の業界と同様ですが、インディーズ映画界もさまざまな部分で垣根が取っ払われつつあるので、それらがうまくつながる、うまく回るようになるまでの今の時期をどう過ごすかが、制作者にとっては重要ではないかと思っています。

自分の声をさらに育てながら、業界の動きに対して早すぎず遅すぎないスピードでやんちゃするのが目標です。

Monday, November 16, 2015

脚本読み合わせのチェックポイント

先日、友人の映画脚本の読み合わせに参加した。撮影前の脚本の読み合わせは、こちらでは「テーブルリード」と呼ばれていて、テーブルを囲んだ形で行われなくてもテーブルリードと言う。

テーブルリードは読む人が誰であるかや読み方、タイミングによって目的はさまざまだ。私もコールドリードと呼ばれる演技をしないでただ読むだけの読み手として参加したこともあれば、自分の脚本のデキを見極めるために俳優に読んでもらったことも、観客300人の前で出演予定の俳優が読む撮影直前の最終チェックとしてのテーブルリードに聞き手として参加したことも、はたまたマイクと録音を担当する音響スタッフとして参加したこともある。

今回は聞き手としての参加。ベトナム人の友人が書いた長編映画脚本の第1回目の読み合わせだった。第一回目であったがさすがすでに賞を2つも受賞している脚本、完成度が高くて読んでる俳優の読み方もだんだんコールドリードじゃなくなり、私たち聞き手もすっかり映画の世界に飲み込まれた。最後のト書きが読み終えられると拍手喝采!この脚本を書き監督もすることになっている友人は感動して泣いていた(自分の書いた脚本に感動したみたい、笑)。

しかもこの作品は、戦前のベトナムが舞台のベトナム語作品として制作される。今回のリーディングは、セリフを英語に訳してニューヨーク在住のアメリカ、アジア、中米出身俳優で行われた。文化と時代と国籍を越えて良い作品になる可能性が高いことが証明された!

テーブルリードは多くのことを気づかせてくれるとても役立つ機会。その目的や自分の役割によってチェックポイントは変わってきますが、今回気をつけて聞いていたことは以下の通り。

1 セリフが自然か
2 各登場人物が明確にイメージできるか
3 全体の流れやテンポが良いか
4 映像作品として十分に視覚的か
5 読み終わった後に心が揺さぶられているか

聞き手としての仕事は感想を述べて何か気づいた点を指摘することだけど、この作品は上の5つのポイントを軽々とクリアしていて褒めるしかなかった。たくさん刺激をもらって勉強にもなったテーブルリードだった。




Saturday, November 14, 2015

日本のインディーズ映画界に希望あり

アメリカのインディペンデント・ムービーに関するニュースサイトIndiewireに、このようなタイトルの記事が掲載されたので紹介したいと思います。正式には「黒澤後、日本のインディペンデント・ムービー界の将来に希望がある理由(After Kurosawa: Why the Japanese Independent Film Industry is Hopeful For the Future)」。

長いので要約すると、以下のようになります。敬称略させていただきます。

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黒澤明、小津安二郎、宮崎駿の伝説的な仕事は、日本の映画人だけでなく、マーティン・スコセッシやクエンティン・タランティーノ、ピクサー映画にまで明確な影響を与えた。しかし、そのような影響は、現在の日本映画界には見られないどころか再生される兆しもないことが、先週開催された東京国際映画祭(TIFF)に示された。

コンペティション部門で上映された11作品のうち日本制作の作品は3本のみ。この他には機動戦士ガンダム映画「ガンダムとその世界」と日本のホラー映画「日本のいちばん怖い夜」が特集上映されたという状況だ。

また、現在の日本の映画市場は国内作品が大部分を占めており、2000年に31.8%であったそのシェアは2014年には58%に上がっている。

しかしより深く考察すると、かつては有していた映画を芸術表現の真の形式および愛国心の源泉と捉える能力の欠如に幻滅していしまった中にも、わずかながらの楽観的進歩が垣間みられる。

現在日本のインディ映画界に見られる状況は、日本に限られたことではなく、端的に言えば、経済状況による制作、マーケティング、発表の場への妨害だ。脚本・監督の安藤桃子は、以前は商業作品とインディ作品への国のサポートはもっとバランスの取れたものだったが最近はインディ作品へのサポートが完全になくなってしまったと嘆く。また、学校教育レベルから映画制作への情熱を育てるのは非常に重要と、日本の文部科学省による文系学部軽視ととれる発言にも懸念を示した。フランスから多大な影響を得た日本人画家を描いた映画発表した監督・小栗康平は、映画における海外との共同制作の道を築いて来なかったのは日本政府の大きなミスであると言う。

さらに、最大のフラストレーションは、大手製作会社がシネマコンプレックスで興行的に成功する作品しか制作しないことである。そのためアニメやマンガ本の映画化が多くなり興行収入全体の70〜80%を占める。そしてそのアニメさえ簡単ではない状況で、第二次世界大戦敗戦に触れるコミック「百日紅」の映画化には大型投資元が二の足を踏んだとTIFFのJapna Nowセクションのプログラマー安藤鉱平は言う。ほとんどセリフのないモノクロ映画「七日」を監督した渡辺鉱文は、「国内でよく知られた俳優がインディ作品にも出演し同じファン層だけを刺激している。これは映画制作の純粋な姿がますます希少になるだけでなく、海外から注目される機会を減らしている」と指摘する。

しかし、日本のインディ界にも希望はある。TIFFのJapan Nowセクションは、日本の今後を背負う新しいタイプの作品を集めたプログラムで、昨年以前に上映された武正晴監督の「百円の恋」や是枝裕和監督の「そして父になる」は海外の映画祭で受賞を果たしている。プログラマーの安藤鉱平は、新しいタイプの小規模作品の潜在能力を示す機会になればと話す。

TIFFのJapan Nowや日本映画スプラッシュセクションで上映された作品が、今後の日本インディ映画界を暗示するものであるなら、思い切った制作をするであろう有望なフィルムメーカーがたくさんいる。例えば、自身の祖母を世話した経験を元した映画「0.5mm」を監督した安藤桃子は「私自身の中の要素、国籍や家族、性別を深く見つめることでしか、自分のスタイルを作り出し自分自身と言える作品を作り始めることはできないと分かっている」と言う。前述の「七日」を制作した渡辺鉱文は「自分のやりたい方法でこの映画を作ることを決定し、それにより得られた自由を使う制作方法が私のやり方です」と。

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日本の映画界について、特に目新しい指摘はないように思いましたが、海外でこのように報道されていることは皆さんにお知らせする価値ありと思いご紹介しました。日本の映画界の悩みは世界のほとんどの国の映画界の悩みと同じです。アメリカ映画界も大変苦しんでいますが、独自の歩みをしています。また別の機会にご紹介します。



Wednesday, November 11, 2015

AIF FEST上映作品に使われたカメラベスト4

アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)は、映画芸術の遺産を保護および発展させることを目的として作られた機関で、教育カテゴリーの映画プログラムはとても有名。著名な映画監督を何人も輩出しています。

このAFIが毎年行っている映画祭AFI FESTの今年の出品作品の撮影に使われたカメラについての記事があったのでこちらで紹介します。

1位 Arri Alexa
2位 Red EPIC、Blackmagic Pocket Cinema Camera、キャノン5D Mark IIの3つ
特記メモ 16mmとSuper 35mmが意外と多かった。

16mmとSuper 35mmが意外と多かったということですが、16mmはともかく、Super 35mmが多いというのは他の映画祭ではあまり聞きません。そろそろフィルムじゃないとイヤだという人が予算を顧みずワガママするケースが多くなっているのかもしれません。アメリカではフィルムがデジタルに追いやられることについての議論が後を立ちません。有名監督の中でもフィルム擁護派とデジタル派、はたまたこの議論に参加したくない派がはっきり別れてきました。これについてはまた別の機会に書きますね。

アメリカにいる私にとってはSuper 35mm以外は全く驚くところのない結果でした。AFI FESTは、 受賞するとアカデミー賞にノミネートされる資格が得られる高いレベルのフェスティバルであることを考えれば予想通りの結果だと思います。

日本ではどうなんでしょう?日本の現状に詳しいかたいらっしゃったらリポートお願いします!



Monday, November 9, 2015

脚本が却下される理由ベスト10

アメリカには、脚本に関係する職業がたくさんあります。

例えば、脚本コンサルタント、ストーリーアナリスト、ストーリーコーチなど。 また、脚本家ではなく「ライター」というカテゴリーの中にも、ストーリー担当、登場人物担当、舞台設定担当など細かい肩書きが用意されています。

私が尊敬するストーリーコーチ兼脚本コンサルタントのCorey Mandell氏が、「脚本が却下される理由ベスト10」を挙げているのですが、なかなか鋭いのでここで紹介します。

1. シーンに意味深い葛藤がない。
2. ストーリーの展開が指南書に則ったルールに従い過ぎている。
3. 主人公が典型的、その他の登場人物も月並み。
4. 悪役が漫画っぽい、悪のための悪。
5. 登場人物に関する論理があやふや。(登場人物の行動や動機が明確でないか信じがたい)
6. 女性の登場人物の描写が不十分。
7. ストーリーの内容が薄い。(20ページ分を100ページに引き延ばしてある)
8. 葛藤が不合理かつ一時的。(葛藤が生まれてもすぐに解決され影響を受けることなくドラマは続く)
9. ドラマがパターン化し繰り返されている。
10. ストーリーが始まるのが遅い。

6は、アメリカの脚本家は圧倒的に男性が多いから。プロの脚本家と言えど自分と同性でない登場人物を書くのは苦手な人が多いようだ。「女性の気持ち分かります!」というキャッチフレーズでアピールしようかなぁと真剣に考えている今日この頃。

日本ではこのようなリストを目にしたことはないように思う。もしどなたかリストを作られり持っておられる方がいらっしゃたら是非送ってください!